店舗やサービスの評判を高めるうえで、オンライン上の施策だけではなく、実際に顧客が店舗で経験する「オフラインの顧客体験」が重要です。どれだけクチコミ投稿をお願いしても、顧客自身に「誰かに伝えたい」と思える体験がなければ、自然なクチコミは増えにくいからです。
クチコミを生み出すために必要なのは、過剰なサービスや派手なサプライズだけではありません。丁寧な接客、期待以上の気遣い、分かりやすい説明、写真を撮りたくなる商品、最後まで気持ちの良い対応など、顧客の記憶に残るポイントを設計することが重要です。
さらに、良い体験が生まれた後にクチコミを書きやすい導線を用意しておけば、オフラインの満足をGoogleマップやSNS上の評判へつなげることができます。
今回は、クチコミが生まれやすい顧客体験の特徴から、具体的な演出方法、Googleビジネスプロフィールを活用して評判を蓄積する方法まで解説します。
クチコミが生まれやすい店舗・サービス体験に共通するポイント
結論からいえば、クチコミが生まれやすいのは「顧客が事前に想像していた体験と実際の体験との間に、良い意味で印象に残るポイントがある店舗」です。
例えば飲食店であれば、料理がおいしいことはもちろん重要ですが、「子ども用の食器を頼む前に準備してくれた」「料理について詳しく説明してくれた」「記念日だと伝えたら細かな気遣いがあった」といった体験が、クチコミに書く具体的なエピソードになります。
美容室なら仕上がりだけではなくカウンセリング、宿泊施設なら客室だけではなくチェックインやスタッフ対応など、顧客はサービス全体を通じて店舗を評価しています。
体験と記憶に関する心理学では、「ピーク・エンド・ルール」と呼ばれる考え方があります。これは、経験を振り返った際に、感情が強く動いた場面と体験の終わりが全体評価へ強く影響する可能性を示すものです。一方、2019年に発表された研究では、複雑で日常に近い体験については、ピークと終了時点だけではなく、体験全体の平均的な感情も記憶を予測する重要な要素になり得ることが示されています。つまり、クチコミを増やすために一部分だけ派手に演出するのではなく、サービス全体の品質を保ったうえで、印象的なポイントを作ることが重要です。
クチコミにつながりやすい体験は、次のように整理できます。
| 体験のポイント | クチコミにつながる理由 | 店舗での実践例 |
|---|---|---|
| 期待を少し超える対応 | 人に話せるエピソードになる | 状況を見た先回りの声かけ |
| 分かりやすい説明 | 安心感や専門性を感じる | 商品・施術・料金を丁寧に説明 |
| 写真に残したくなる要素 | SNS投稿のきっかけになる | 盛り付け、店内装飾、商品展示 |
| 個別対応 | 「自分を見てもらえた」と感じる | 好みや利用目的に合わせた提案 |
| 気持ちの良い終了体験 | 最後の印象が記憶に残る | 会計、見送り、アフターフォロー |
重要なのは、「クチコミを書いてもらうための演出」ではなく、「顧客が誰かに話したくなる体験」を作ることです。
良いクチコミは、依頼文だけでは生まれません。クチコミに書ける具体的な体験そのものを店舗側が積み重ねることが、オフラインでの評判形成の土台になります。
思わずクチコミしたくなる印象的な顧客体験のつくり方
クチコミが起こりやすい体験を作るには、顧客が店舗を利用する流れを「来店前・来店時・サービス提供中・会計・退店後」に分け、それぞれの接点を確認することが効果的です。
特に確認したいのが、「顧客が不安になる瞬間」と「満足度が高まりやすい瞬間」です。
例えば初めて美容室を訪れる顧客であれば、「希望する髪型が伝わるだろうか」という不安があります。そこで施術前のカウンセリングを丁寧に行い、完成イメージや料金について分かりやすく説明できれば、その安心感自体がクチコミの材料になります。
飲食店なら、「注文方法が分からない」「おすすめが分からない」といった不安をスタッフが解消できます。整骨院やサロンであれば、施術内容や今後の流れを具体的に説明することが安心感につながります。
クチコミを生み出す体験設計では、次の3点を意識するとよいでしょう。
1つ目は「具体的に語れるポイント」を作ることです。「良かった」という漠然とした満足より、「スタッフが〇〇まで説明してくれた」「〇〇の対応がありがたかった」という具体的な出来事の方がクチコミとして文章にしやすくなります。
2つ目は「顧客自身が共有したくなる要素」を作ることです。商品の見た目、店内の空間、サービスの提供方法など、写真や会話の話題になる要素があれば、オンライン上で共有されるきっかけになります。
3つ目は「最後まで体験品質を落とさないこと」です。サービス自体が良くても、会計で長時間待たされたり、退店時の対応が雑だったりすれば、最後に生じた不満が全体の印象を下げる可能性があります。体験の終了部分が記憶や全体評価に影響し得るという研究結果から考えても、会計や見送りまでを顧客体験として設計することには合理性があります。
ただし、クチコミを生みたいからといって、過剰なサービスを毎回提供する必要はありません。
「名前を覚えている」「前回の相談内容を把握している」「質問に丁寧に回答する」「困っていることに一歩先に気付く」といった小さな積み重ねでも、十分に印象的な体験になります。
クチコミが起こりやすい店舗とは、派手な演出がある店舗ではなく、「顧客が他人に説明できる良い体験がある店舗」と考えることが重要です。
店舗で生まれた良い体験を自然なクチコミと評判形成につなげる方法
良い顧客体験を作っただけでは、必ずクチコミが投稿されるわけではありません。オフラインで生まれた満足を評判へつなげるためには、顧客がクチコミを投稿しやすい導線を用意する必要があります。
Googleは、Googleビジネスプロフィールのクチコミを依頼するための専用リンクやQRコードを作成できる機能を提供しています。公式ヘルプでは、レシートへの掲載、サンキューメールへの掲載、チャット終了時の案内、店舗内へのQRコード掲示などがクチコミ依頼の方法として紹介されています。
そのため店舗では、例えば会計終了時に、
「本日はありがとうございました。よろしければ、実際にご利用いただいた感想をお聞かせいただけると嬉しいです」
と案内し、QRコードからGoogleのクチコミ投稿ページへアクセスできるようにすると、投稿までの手間を減らせます。
ただし、クチコミ依頼には重要なルールがあります。
Googleマップでは、金銭、割引、無料の商品・サービスなどのインセンティブと引き換えにクチコミを依頼する行為は禁止されています。また、良いクチコミを書きそうな顧客だけを選んで依頼することや、特定の評価・文章を求めること、店舗内でクチコミ投稿を強要することなども認められていません。実際の体験に基づき、評価や内容を誘導せずにクチコミを依頼することは認められています。
したがって、
「星5を付けていただいたら10%OFF」
「満足した方だけクチコミをお願いします」
「スタッフ〇〇について書いてください」
といった依頼は避けるべきです。
一方、
「よろしければ率直なご感想をお聞かせください」
という中立的な依頼であれば、顧客自身の実体験に基づく自然なクチコミにつなげられます。
さらに、投稿されたクチコミには返信することも重要です。Googleも、クチコミへの返信について、顧客からのフィードバックを大切にしている姿勢を示す方法として案内しています。返信は投稿者だけではなく、そのクチコミを後から見る見込み客にも公開されます。
オフラインで良い体験を提供する
↓
適切なタイミングでクチコミを案内する
↓
実体験に基づくクチコミが投稿される
↓
店舗側が丁寧に返信する
↓
クチコミを見た新しい顧客が来店する
↓
新しい顧客体験とクチコミが生まれる
この循環を作ることが、継続的な評判形成につながります。
クチコミ施策は「投稿数を増やす活動」だけではありません。クチコミに書きたくなる顧客体験を店舗側で作り、それを投稿しやすい仕組みで支えることが重要です。
まとめ|クチコミを増やす第一歩は「書きたくなる体験」を作ること
クチコミが起こりやすい店舗を作るために、最初から「どうやってクチコミをお願いするか」だけを考えるのは適切ではありません。
まず取り組むべきなのは、顧客が「この体験を誰かに伝えたい」と思える理由を作ることです。接客、説明、商品、空間、気遣い、会計、見送りなど、来店から退店までの顧客体験を確認し、特に不安や不満が生まれやすいポイントを改善していきましょう。
そのうえで、GoogleビジネスプロフィールのクチコミリンクやQRコードを活用し、顧客が簡単に感想を投稿できる導線を整えます。Googleではインセンティブによるクチコミ獲得や評価の誘導は禁止されているため、あくまで実体験に基づく率直なクチコミを募る運用が必要です。
Tplus株式会社では、クチコミ対策を「クチコミをお願いする施策」だけではなく、「良い体験が生まれ、その体験が自然に共有される仕組みを作る施策」として考えることをおすすめします。
まずは自社の顧客体験を「来店前・来店・サービス提供・会計・退店後」の5段階に分け、「顧客が人に話したくなるポイントはどこか」「不満が生じるポイントはないか」を確認するところから始めてみてください。
引用・参考URL
Google ビジネス プロフィール ヘルプ
「Google のリンクまたは QR コードを作成してクチコミをリクエストする」
https://support.google.com/business/answer/16816815
Google ビジネス プロフィール ヘルプ
「クチコミを管理する」
https://support.google.com/business/answer/3474050
Google マップ ユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー
「禁止または制限されているコンテンツ」
https://support.google.com/contributionpolicy/answer/7400114?hl=ja-JP
PubMed
「Evaluations of pleasurable experiences: the peak-end rule」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18605486/
Frontiers in Psychology / PubMed Central
「From Experience to Memory: On the Robustness of the Peak-and-End-Rule for Complex, Heterogeneous Experiences」
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6668632/
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